消えゆく情報に宿る「本物らしさ」と、それでもあえて残すという不自由の道
#81 Traces of Choice (20260427〜20260504)
Traces of Choice は、JTCのIT部門で働く音楽愛好家が、ジャンルを横断して、日々気になった / 面白かった情報をキュレーションしてお届けするニュースレターです。
1.Tech
なぜ「BeReal」から漏えいが相次ぐのか “2分以内”の焦りが生む不用意な投稿
まぁそうなんだけどさ、感。表面的な話をしてもしょうがないものだと思っており、やるならもっとちゃんと考えるべき話だと思う。これはどうテクノロジーと向き合うかという話であり、どう違う世代の文化を理解するか、という話で考えるべきだと思う
基本的に、個別具体の話をあまりデカくしすぎないほうがいいと考えるタイプだが、この件は個別具体の話がテクノロジーで拡散されてしまうという点が一つのポイントなので、さすがにその筋から考えざるをえない
なかなか厳しい現実
西日本シティ銀行BeReal動画の撮影時期が2024年なのに今回の流出が支店長の大阪支店への栄転のタイミングである事実が気になる…Z世代の軽率投稿は利用されたのか? - Togetter
より複雑な話になっている
オンライン上に人を集める「速さ」と「対立」。その先にあるものは|うにくえ|個性ってなんだ?
これは本当にそう思う。OffTopicでも話していた、時間をどうコントロールするかという話にも通ずる
”次にやってくるのは「情報のスピードがコントロールされる時代」だろう”
これはまさしくBeRealの話でもある
Simulacrum of Knowledge Work(知識労働のシミュラクラム)
1行目の「自分で作業をやり直さずに、出力が良好であることをどうやって確認するのですか?」というのが全てかもしれない。 AIによって体裁はいくらでも整えられるようになったので、体裁の綺麗さで品質を推し図る考え方が機能しなくなったという話。
そもそもホワイトカラーの仕事の根本の話だと思うが、仕事を駆動しうるものは「信頼」でしかないはずなので、それをどうやって可視化するのか/できるのかという話だろう。今までは体裁等である程度推察できていたが、それが完全にできなくなった時代。
だからテック系とはさっさとやって結果をみようという話になっているのだと思うが、そういう考え方が適用出来る仕事ばかりでもないのが難しいところ。まぁこの観点を持っていかに評価するかを考えることは基本になっていくのだろうが。
Spotifyが人間アーティスト認証バッジ導入──AI生成コンテンツとの識別を強化
まぁこの流れは必然とは思うが、「ボットを識別する」時代から、ボットがAIによって無限生成可能になったことで、相対的に人間の希少価値があがり、「人間を識別する」時代へと逆転してきた感がある
SoRの復権とSoIの時代の到来 - Nothing ventured, nothing gained.
AIエージェントに時代において、自律的な行動に主眼を置いたSoA(Systems of Action)という言葉を最近たまに見かけるなと思っていたが、もう少しその手前としてSoI(Systems of Intelligence)がありそう。 今後よく出てくるかもしれないが、InsightとしてSoIが使われていた過去もあるので、ややこしい。
“ • 「古い」と思われていたSoR(Systems of Record)が、AIエージェント時代に競争優位の源泉として復権する
• SoRとSoEを統合する新たな層として、Systems of Intelligence(SoI)の時代が到来した
• SoIの概念は10年前から存在したが、生成AIによってようやく技術が追いついた””Systems of Intelligenceにおけるループの主体はAIエージェント(Agent-in-the-loop)である。AIが目標を設定し、計画を立て、ツールを呼び出し、タスクを完遂する。Insightが「見る」ためのシステムだとすれば、Intelligenceは「行動する」ためのシステムである”
マネーフォワード、GitHubからソースコードと一部ユーザー情報流出か 銀行連携を一時停止
なんでソースに個人情報や認証キーなどが書かれてるねんとざわざわしている
“GitHub内のリポジトリ(ソースコードの保管庫)がコピーされ、ソースコードと、自社ブランドのクレジットカード「マネーフォワード ビジネスカード」保持者370件の氏名(アルファベット)などが流出した可能性がある”
”同社は、不正アクセスの経路となった認証情報を無効化し、アカウントを遮断済み。ソースコードに含まれる各種認証キーやパスワードの無効化と再発行もおおむね完了した”
その後サポートサイトに以下が追記されていた:【重要】『GitHub』への不正アクセス発生および銀行口座連携機能の一時停止に関するお知らせ(2026年5月3日 13時00分 更新) – マネーフォワード MEサポートサイト
“Q.なぜ、GitHubに個人情報が含まれていたか。
A.通常、GitHub上に保存するソースコードに個人情報の入力はございません。しかしながら、個人情報の取り扱いを伴うサービスの更新作業を行う過程で、個人情報が含まれたファイルが本来の管理手順から外れ誤ってGitHub上に保管されていたこと”
多分その通りなのだが、マネーフォワードみたいなテック系企業であってもそうというのが結構大きい。この手のエンジニアであっても、結局みんな基本のきができていないということがよくわかる。
不正アクセスとかそういう問題だけじゃないだろうという話かと思うが、むずかしいね
今そこにある危機か恐怖を煽るマーケティングか、Claude Mythos騒動で示した「本当の危機」 【生成AI事件簿】問われるのは最先端AIを誰が評価し、監督し、分配するか | JBpress (ジェイビープレス)
Mythosがどれほどの影響を及ぼすのか、うまくイメージできない
OpenAIの「Codex」にサンドボックス迂回のゼロデイ脆弱性 ~Trend MicroのZDIが指摘/有効な緩和策は「Codex」の利用を制限することのみ
Mythos後の世界でも、脆弱性があって対策が「使わない」ことしかなくても、あまり影響ないから直すつもりはない、とOpenAIほどの企業が言うのか やはりセキュリティの世界はよくわからない
さすがにこっちは既に修正パッチがでてるらしい
MetaのManus買収を潰した中国、AI企業の海外流出を止める「地政学カード」の衝撃 【生成AI事件簿】なぜ米中首脳会談前に浮上したのか?AI買収が外交事案になる時代 | JBpress (ジェイビープレス)
テクノロジーを地政学から捉える必要が増してきた
”ここまでで見てきた要素を統合すると、ひとつの認識が浮かび上がる。それは「AI買収はもはや経済取引ではなく、外交事案である」という構図だ。”
これとかもまさにそう
The 2026 Global Intelligence Crisis - Citadel Securities(2026年の世界情報危機)
足元を見ればソフトウェアエンジニアの求人が急増中だし、長期的に見てもケインズの21世紀初頭には週労働時間が15時間に短縮されると予測が外れているように、人間の欲望には際限がないので、AIによる労働市場への影響はそこまで大きなものではないだろうという見立て。
まぁ確かに現時点ではそうだと思うし、”技術革新の波が次々と押し寄せても、爆発的な指数関数的成長は起こらず、労働力も不要にならなかった”というのはその通りだと思うが、でも、そこで必要になっている労働力の質が変わってきているように思う。このままいくと、AIを自由自在に扱える側と、その効果を享受する側で、現在以上に格差が拡大していく可能性が気になる。
文系・テック・ブログについて② | bunkei +ech
さやわかさんのブログ、めちゃおもしろい。
あまりテックに関するイメージは個人的には持っていない方だったのだが、相当に一家言ありそう。 まぁまだ「テック」の話までそこまで至っていないのでわからないが、いわゆる「テック」とは違って「技術」ということの重きを置いているのかもしれず、それはそれで興味深い。
XユーザーのJaya Guptaさん: 「Experience is now a tax.」
AI時代において、”経験は今や税金だ”という主張。まぁわからんでもないが、そう簡単でもないだろうという感覚。
多分社会を変えるとか人を動かすためには一体何が必要か?という話だと思う。多分この手の人たちは、イノベーションや技術が必要というだろうし、多分そういう側面も多分にあるのだが、それ以外の要素も世の中にはたくさんあるというのが難しいところ
2.Business Skill
大学で授業をしていて衝撃的だった事…学生達がAIを使ってプレゼン資料を作成していたが、自分の資料の内容を理解していなかった→指摘したところ驚くほどの変化があった
これは、うまく失敗する/させることの重要性の話。 AIの話に限らず、社会が高度化していて失敗がどんどん難しくなっているからこそ、ますます大事になっている。
従業員エンゲージメントの「7割はマネジャー次第」、ギャラップ社トップ研究員の結論 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
肌感としてはよくわかる話
”多くの組織は、エンゲージメントは福利厚生やカルチャー施策で決まると考えがちだが、ハーターの研究は、より具体的な原因を示す。「チームのエンゲージメントの分散の70%は、マネジャーに帰結することがわかっています」と彼は言う。「マネジャーが日々どのように仕事を実践しているか、そして組織が次のマネジャーを誰にするかをどう選ぶか、という話です」”
通ずる話な気がする
3.Music
lyrical school REMOTE FREE LIVE vol.1 - YouTube - lyrical school
後述のPodcastで話したもの。今観ても、鳥肌レベルで素晴らしい。
これ、コロナに入った直後の2020年4月に、個々人がiPhoneで別撮りしたものを後で繋ぎ合わせたライブ動画です。
Trooper Salute ”幽体離脱” 〜 ”美人” Live Video - YouTube - Trooper Salute
Trooper Saluteについても後述のPodcastで話した。今のライブはもっと良いけれど、これも十分良い。
features ohzora kimishima JP — textur3
アーティストだねぇ、と思う君島大空のインタビュー。
“納得するまで誰にも見られたくないし、聴かれたくなくて、全て自分でコントロールできたらいい”
“大切にしているのは自分のイメージです。イメージがあるので、なるべく自分の手でタッチできるところまではタッチしたいと考えます。イメージがある人は、できるだけの領分を一人でやった方がいい”
PCで見た時のレイアウト/デザインが面白いサイトだなと思った スマホで見ると普通なので、多くの人はある意味変なこのレイアウト/デザインに気づかないのだろうが、おそらく意図的だろうな
このサイトはこういうものらしい
”2024年春、イベントレーベルとして始動。公演企画・主催・制作をはじめ、中華圏展開におけるローカライズの課題にワンストップで伴走。音楽性を最優先に、オルタナティブな世界観や独自の “texture” を持つ音楽家、そしてシーンを形づくるクリエイターにフォーカスし、それらにまつわる多角的なトピックスを発信・提案するクリエイティブ・プラットフォーム”
4.Book
はじめに:『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』 | 日経BOOKプラス
なんとも評価が難しい本だなという印象。 面白さとしては⭐︎5なのだが、2025年に出た本としてはなんとなく言及の対象がちょっと前な気がする。 AIの話とかそこまで出てこないし、トランプ2期以降だとちょっと話違わない?という気も。細かく追求してはいないが、ややロジックが通ってない気もする。
全体の論旨含めて気になることは結構ありつつも、力のこもるシリコンバレー批判や左派批判、国民国家への考え方はまぁそうだよねとなる。 批判受けがちな軍事系の話やパランティア自体についてもそこまで突っ込んだ話はなく、これは一体何の本なのか、一読した限りでは悩んでしまった。
タイトルに関しても定義をちゃんとしていない気がするし、そもそも大して言及されていない気がするなと思ってLLMと会話してみたが、ChatGPTもGeminiも、この記事が似たようなこと言ってるよと出してきた
Book Notes: The Technological Republic (2025) – The Scholar’s Stage
“『テクノロジカル・リパブリック』には明確な論文がない。章立てはバラバラで、2023年のChatGPTが雑に縫い合わせたTEDトークの連続のように読める”
”本書で最も苛立たしいのは、カープとザミスカが、いかなる重要な問題についても積極的な立場を取ろうとしないことだ。カープとザミスカは、シリコンバレーの問題点は、「良い人生とは何か、社会が追求すべき集団的努力とは何か、そして共有された国民的アイデンティティが何を可能にするのか」という、重要でありながらも厄介な問題から目を背けていることだと述べている。しかし、『テクノロジー共和国』には、「良い人生を定義する」あるいは「共有された国民的アイデンティティが何を可能にするのかを説明する」試みは一切ない。著者らは「テクノロジー共和国の再構築には、国民文化と価値観の再主張が必要となる」と主張するが、それらの価値観が何であるかは決して語らない。彼らはシリコンバレーが「狭く薄っぺらな功利主義」に飲み込まれてしまったことを嘆くが、それに代わるより豊かな道徳的ビジョンを明確に提示することは決してない”
この要約の与える印象と、本の与える印象が全然違うと思うのだが、これはなんなんだろうな
序盤1時間で解説がされているわけだが、非常にバランスの取れた内容だと思った、やっぱり流石だな
こっちも概ね↑と似た方向性だけど、もう少し広く話題を展開して語っているな
【帰ってきた!お金まわり公開記】3年目の通期黒字化を目指して「古本販売」「無人営業」をスタート!|freee公式note
無人というのも面白いが、ここまでお金周りを公開しているの面白いな。経営のリアルがよくわかる
5.Video・Podcast
GENER8ION - STORM starring Yung Lean - YouTube
たまたまこのポストきっかけで見てみたのだが、すごい映像作品だった。
Xユーザーの八木皓平🐐🏉さん: 「今年はこれを越えるMVはなさそうだな。
6.Other
人は、結論だけで生きている
大事な話をしていると思う。多分「時間」の話。
The Future of Entertainment Is Interactive
TBPNのディラン・アブルスカトによる「エンターテインメントの未来はインタラクティブだ」という短いテキスト。 まぁそうだよね、SNSがここまで流行した理由もそうだろうし、いかにそこをうまく設計できるかなんだろう。
TBPN自身もそうだし、ジャスティン・ビーバーのコーチェラでのアクトもファンのリクエストに基づいたリアルタイムのインタラクティブなパフォーマンスと分析したうえで、”このトレンドは、メディア系スタートアップ企業、ストリーミングサービス、コーチェラ出演者といった分野から、より伝統的なエンターテイメントへと広がっていく”というのはその通りだろう
曰く、次にはやるのは、スポーツだろうとのこと。確かにスポーツベッティングも流行っているし、まだ可能性はありそう。
Gen Z leads birdwatching boom as more Britons reach for the binoculars(Z世代がバードウォッチングブームを牽引、英国では双眼鏡を手に取る人が増えている)
イギリスのZ世代でバードウォッチングブームがきているらしい、興味深い
”2万4000人以上を対象とした複数年にわたる調査によると、バードウォッチングは、ジュエリー製作に次いでZ世代の間で2番目に急速に成長している趣味”
”RSPBが発表したFifty5Blueの調査によると、イギリスでは約75万人のZ世代(16歳から29歳)が定期的にバードウォッチングを楽しんでおり、これは2018年以降1088%の増加となっている。 過去8年間で、定期的なバードウォッチングはあらゆる世代に受け入れられ、全体で47%増加した。ミレニアル世代では216%増加し、X世代のバードウォッチャーも66%増加している”
「ジュエリー製作」が最も成長している趣味だという点も興味深いが、情報はぱっとは見つけられず。でもハンドメイド全般が世界的に流行っているのかな。
情報収集はメルマガ派? SNS派? 20〜30代は「両方見る」が約6割【ユミルリンク調べ】
メルマガって結構見られてるんだな、個人的には意外だった その意味でのSubstack的なニュースレターの時代感はあるのかも
なんか目に入ったので
戦争よりも恐ろしい「平和」がある なぜ台湾発の禁書が東京で産声を上げるしかなかったのか|FNNプライムオンライン
自分にはこのテキストを十分に理解する力がないのだが、相当深く突っ込んで、重要な話をしていると感じる 「平和」とは何かという話
この話、遠いところで通ずるかもしれない。「終末論」と「平和」の話。
Robloxで最も収益の高いIPゲーム『スポンジ・ボブ・タワーディフェンス』、バンジョン2.0がリリース 成功の要因は? | ニュース | IT×メディアの最前線を届ける | MEDIAMIXI
動線が完璧すぎるな
”「初日からYouTube・Discord・TikTokチャンネルを開設し、コミュニティを形成した」という戦略”
”毎週金曜日に更新されるコンテンツ設計はテレビの「週次放送」の論理をゲームに移植したもので、定期的に「次が気になる」状態を作ることでMAUを維持”
最近自分が出したもの
個別化・個人化の時代において、演者と観客の間にある「共有地」を育む条件を、2つのライブを観て考えた話 - 余白のエクリチュール | Podcast on Spotify
非常にわかりづらいタイトルなのですが、リリスクとTrooper Saluteの話をしています。
Editor's Note
4/29に音楽/カルチャーのメディアでありプラットフォームである『AVYSS』による雑誌『AVYSS Magazine』の創刊記念トークイベントに行ってきた。
Xユーザーのやぎしょーご Shogo Yagiさん: 「全然わかっていない『AVYSS』を学びにきた
簡単な感想は上記のスレッドに書いたが、『AVYSS』自体が、かなり個性の強いメディアであり、自分もよくわかっていない領域ではあるのだが、今の時代を捉える上で、とても面白い話が聴けたと思う。
特にここ。
『AVYSS』系のアーティストは、人によってはインスタに写真をほとんど載せておらず、概要欄にも情報をほとんど書いていないような人も一定数いると。そういうアーティストはほとんどのやり取りを、24時間で消えていくストーリーで行なっているらしい。
そして、この傾向はリスナー側もおそらく共有していて、例えばこのイベント自体の文字情報も、Xにはほとんど見当たらない = 文字情報を残さないという話であった。
つまり、情報がアーカイブ化されていくことに抵抗感を持っている人が増えているのではないか、ということである。
『AVYSS Magazine』のインタビューで取り上げられていたlilbesh ramkoの言葉もこの流れに位置付けられるかもしれない。昔から大なり小なりあったことではあるとは思うが、今はそこに変に言い訳をせずに、ストレートに気持ちを出すことが積極的に行われている気がする。
──スタイルが変わる一方で、初期の感じを求められることもあるじゃないですか。それについてはどう受け止めていますか?
たとえば『終末Collection』の頃の感じが好きですって言われたら「僕も好き!」ってなりますね。でも、本当にその時その時の日記みたいな感覚で作ってるので、同じような感じではマジで作れないです。
当時作ってた曲とかを今聴いて良い曲だなとは思うけど、歌詞で言ってることに共感はできなくて。もう自分の手を離れていってる感じですね。「i(dont)know.」とかも、本当に何もわからなくなってた時の気持ちをそのまま曲にしてるし。そういう当時の自分のことは……抱きしめてあげたい(笑)。
人は、結論だけで生きている | Books&Apps では、多くの人は脊髄反射だけで快・不快をベースに動いているだけだという理解するようになったと書かれている。
しかし、著者はそこに対比させる形で、わかりやすく直接的な快・不快といった刺激よりも、日々を積み重ねた先にあるある種退屈さこそが尊いという境地に至ったようだ。
ここに至った要因として加齢の要素があげられているが、そうであれば、情報のアーカイブ化への抵抗感は、年代の問題なのだろうか。それともやはりデジタルネイティブ世代に通底する新たな感覚なのだろうか。
今週はBeRealがらみの炎上話もあった。
なぜ「BeReal」から漏えいが相次ぐのか “2分以内”の焦りが生む不用意な投稿
年度明けから続く、新入社員の”やらかし”かと思いきや、実は動画は2024年に撮られたものというところものらしい。その後は把握していないが、いずれにせよなんとも奇妙な話だ。
インターネット上のアーカイブは消えていくという言説もあるが、一方で消えたと思ったら、後から復活してくるということもあるわけか。
こういうことがあれば、なおさら情報のアーカイブ化への抵抗感は強まっていくかもしれない。
(本当は、「忘れる」であったり「時間をコントロールする」ということについても考えたい話ではあるのだが、別の機会に譲りたい。)
とはいえ、自分はこんなニュースレターも書くぐらいのアーカイブ積極派であるから、もう少しこの点について考えたい。
気になるのは、情報がすぐに消えていく世界観において、どのように信頼は紡がれるのか?ということ。
ちょうど三宅さんがそういう観点のnoteを書いていたので、気になった箇所を引用してみたい。
継続し時間軸を伸ばす、といういまの時代に最も必要な価値ー櫻坂46の5周年ライブと現代性|三宅香帆
国立競技場で開催された櫻坂46の5周年ライブ、素晴らしかった!
で、何を思ったって、「続けること」がいちばんの価値なのではないか? という話
人の信頼はどこで蓄積されるのだろう、と思う時がある。私が作家に対して信頼を覚えること、それは書き続けてきた作品の連続性に宿る。つまり、なんというか、時間や作品数を重ねることでしか生まれない作者と読者の関係というか、そういうものは確実にある
まさしくそう思う。
つまり作品や情報をちゃんとアーカイブしていくことこそが信頼に繋がっていくのだと自分は考えていたが、『AVYSS』の話を踏まえると必ずしもそうではないルートもあるかも、というか今はそうではないルートが主流になってきているのかも?と思い始めてきた。
米国消費者の7割弱「クリエイターはテレビよりも本物だと感じる」 TubiはTikTokと提携 | ニュース | IT×メディアの最前線を届ける | MEDIAMIXIによると、タイトルの通り、もはやレガシーメディアはほとんど信頼されていない。そこに「本物らしさ」がないとされてしまっている。これだけ時間と作品を積み重ねてきたにも関わらず。
いやむしろその積み重ねにより負の側面が重くなりすぎたこと、そして一貫性を保とうとして矛盾を隠蔽しようとしてしまうことから、積み重ねによる正の効果は失われつつある。積み重ねに対する検証は行われず、嘘っぽさを感じ取られるようになってしまい、それよりもその場限りのリアリティがあれば信頼できる、という方向に大きく移っているのだろう。
情報があまりないアーティストに対しては、接触断面が限られる一方で、それでもちゃんと届くアーティストはいる。それを『AVYSS』は体現している。
それが一定の規模になりさえすれば、アーティスト自身から発せられる情報はほとんどなくても、感度の高いメディアやファンを中心に、情報は染み出していく。
そうなってしまえば、むしろ情報の希少さはプレミアになる。変に情報が多くないことが、逆に今のアーティストの熱量をそのまま伝える動線につながりやすくなる。
みたいなことを考えたが、どうだろうか?
いずれにせよ、情報があれば良いのだという考え方は、情報が指数関数的に飽和していく時代において、否定されたことは間違いない。
だからこそ、信頼を紡ぐための「続け方」も、これまでとは違った考え方が求められるのだろうと思う。
それが一体何なのか、思考を巡らせながらも、自分は自分なりの”選択の痕跡”を続けていくことだけは間違いない。
余談:パランティア・テクノロジーズのアレクサンダー・C・カープとニコラス・W・ザミスカが書いた『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』が話題になっているが、面白かった。
はじめに:『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』 | 日経BOOKプラス
シリコンバレーのビッグテックは軒並み強烈に批判されているのだが、Geminiに2004年設立のメタ(当時フェイスブック)と2003年設立のパランティアの時価総額をグラフにさせたら、こう出てきた。
以前として、メタのほうが圧倒的に高いわけだが、それでも時代の風向きはパランティアに向いてきている気がする。
当時からリスクを取って、本来やるべきことをちゃんと積み重ねてきた結果なのだ、とアレクサンダー・C・カープは言うだろう。

















