共通言語を失ったあとで
#84 Traces of Choice (20260518〜20260524)
Traces of Choice は、JTCのIT部門で働く音楽愛好家が、ジャンルを横断して、日々気になった / 面白かった情報をキュレーションしてお届けするニュースレターです。最下部のEditor’s Noteにて、気になった情報を横断して一つにまとめた論考を書いています。
1.Tech
世界中で急激に出生率が減少しているのは「スマホとSNS」のせいかもしれない
うーむ、、、やはりスマホとSNSが及ぼしている影響はかなり大きいように思う
“経済紙のフィナンシャル・タイムズは世界的な出生率低下の理由が、「スマートフォンとSNS」にあるのではないかと指摘しています”
“研究者らは、スマートフォンが若者の交流の仕方を変え、対面での交流が大幅に減ったことが出生率の低下につながったと主張”
こんな話も
AIで誰もがツールを作る時代、実は来ないんじゃないか説 - Sweet Escape
“技術の民主化”的な話全般に言えると思う話だが、その考え方がそもそも一体何なのか、もっとちゃんと考えたい感がある
EUCもそうだし、ノーコード/ローコード的なものもそうだし、BI的なものもそうだし、歴史は、”螺旋状に”ずっと繰り返してるんだよなぁ
“「SaaS is Dead」というフレーズは語感としては強いけれど、自分の周りで起きていることを並べてみると、もう少し穏やかな絵に見える。消費者向けは残るし、BtoBは影響を受けるけれど、全部ではない。そして人の役割が消えるわけでもない。
そして1番重要なのは、AI活用が広がる場面ではセキュリティとガバナンスの問題が必ずついてくる、ということ。技術側で仕組みを用意しつつ、使う側にも最低限の知識を持ってもらう、というセットでしか前に進まない”
角度は全然違うが、”民主化”の話だった
Every AI Subscription Is a Ticking Time Bomb for Enterprise(企業にとって、あらゆるAIサブスクリプションは時限爆弾である)
AIトークンをどう管理していくのかという問題は、今後かなり重要な問題になってきそうだな、、、
Xユーザーの福島良典 | LayerXさん: 「この未来が確実なので、適切なトークンマネジメント、トークン調達は企業にとって大きな経営イシューになります / X
no slop grenade
ページに思想が表れていて面白い
“スロップグレネードって何ですか? 人間がたった一文を書くようなチャットやメールに、AIが生成した長文を貼り付ける。これはメディアそのものを破壊する行為だ”
“AIは物事をより分かりやすくするために活用すべきであり、時間を増やすために使うべきではない。AIはあなたの思考を研ぎ澄ますためのツールであって、あなたの思考を置き換えるものではない”
とはいえ、この前提が正しいとも思わないので、やや難しい(この前提が共有できるなら、全く異論がない)
”なぜそれが間違っているのか もしAIによるエッセイが欲しかったのなら、彼らはChatGPTに直接依頼したでしょう。彼らがあなたに依頼したのは、あなたの人間的な判断が欲しかったからです”
The end of typing? Why workers are suddenly ditching their keyboards(タイピングの終焉?労働者が突然キーボードを手放し始めた理由)
タイピングから音声入力への移行の流れが「ボイスピル(Voicepilled)」の台頭という形で表現されている
“ボイスピルになるというのは、自分の声を使ってテクノロジーとやり取りし始めると、自分の能力を増幅させる新しい方法が開かれることに気づく瞬間のことだ”
音声入力には興味はあるが、まだ試せていない
多分向いてないと思うんだけど、話す訓練にはなる気がしている
2.Business Skill
楽天証券で日経新聞を読むには?無料の「日経テレコン(楽天証券版)」の使い方を紹介|資産形成ゴールドオンライン
情弱だったので、楽天証券に口座を作れば日経を無料で読めるって知らなかった。日経購読しようか結構ずっと迷っていたので、これは助かる
Xユーザーのすてぃーぶさん: 「楽天証券で口座作ればアプリから無料で読めるよ、と若手にいつも教えてるんだけど、面倒くさがってほとんどやらない。年5万だからポイ活より明らかに得するのに」 / X
3.Music
みんなに届く、音楽のリンクまとめサービス nodee
それぞれが使っている音楽プラットフォームが違うので、それらを任意で選択できるツールで音楽をシェアしたい時がある
そんな時、これまではSonglink/Odesliを使っていたのだが、意外と国産のnodeeが普通に良いという話
Songlink/Odesliは、なんかうまく各種プラットフォームのリンクを拾ってきていない感があったのだが、nodeeのほうが安定しているかも、と何回か音楽ブログで使ってみて思った
サムさんに教えていただいた→ Xユーザーのサムさん: 「ここ数年はalbum.linkを利用してきて、一時のシステム不調時にnodeeを利用していたが、nodeeの方が安定して各プラットフォームへのリンクを表示できているように見えるな。 nodeeメインにしても良いかもしれない。」 / X
4.Book
新・消費論 林凌(著) - 中央公論新社
どうやら燃えているようだが、気になる本
5.Video・Podcast
話がおもしろいってどういうこと? | 考えすぎフラグメンツ #57 - YouTube
めちゃ面白い回だった
話はテクニックではなく、「自分が見えているか」と「世界(相手)が見えているか」という、”認識”の問題だという考えは、全くその通りだと思う
し、なんかそこが特に”アルゴリズム”によって、バグりまくっているのが最近の世の中な気がしている
そういえば、ここでも近い話がされていた
ハイパーパーソナライゼーションを実現する”アルゴリズム”は、この理解をひたすら遠ざけるので、本当にやばいと思う
ジャストアイデア的には、話は”エンターテイメント”と”コミュニケーション”で考えることができるが、前者はいわゆる話術的な面白さに、後者はコーチング的な技術という、両極に行きがちに感じる
本来はこの間のグラデーションのコントロールが肝なんだというのが、ここで話されていことな気がする
【2020s|時代の転換点は、2003年にあった──ピーター・ティールの思想とその現在地】テック右派の台頭につながる20年がかりのプロジェクト/a16z「アメリカン・ダイナミズム」と正戦論 etc. - YouTube - De-Silo
新しく始まったデサイロのPodcast。哲学者の柳澤田実さんと、デサイロ代表の岡田弘太郎さんの組み合わせは、比較的フラットで滑らかな耳触りながら、内容は極めて重厚で流石の内容だった。今後も楽しみ。
ティールについてうまくまだ理解できていないのだが、「マジョリティから1回降りている」ことは、今の時代に重要なのだろうな
今の防衛テックの源流にはa16zの「アメリカン・ダイナミズム」があることは知らなかったので勉強になったし、「アメリカでは金が唯一の共通言語になっている」っていうのもその通りなんだろうなぁ
良くも悪くも、資本主義において、「金」だけは最低限合意できる要素なんだと思っている
【2020s|Palantirはなぜ「国家のための軍事技術」に向かうのか?──『テクノロジカル・リパブリック』を読み解く】強いコミットメントへの渇望が軍事に向かう恐ろしさ etc. - YouTube - De-Silo
結構2人のスタンスが違うのが興味深かったな
個人的には、柳澤さんに近い感覚を持った
とはいえ、この微妙なニュアンスはわかるなと思いながら聴いていた
終盤の「価値を表面することが困難になった重症な時代」というのも本当にその通りだと思う
単なる共同体大事的な話じゃダメなのも分かりきっているので、どうするのかという話で、ここで話されていることも本当にそうだと思った
人間の底知れぬ欲やモチベーションをどこに向けていくのか、そういうことをもっと考えないといけない時代だよなぁとも思う
誰に合わせて編集してる?|伊藤総研&内沼晋太郎 - 編集を巡る。 | Podcast on Spotify
なかなか難しい話だったが(故に良い意味でPodcastぽいなと思った)、なんとなくのニュアンスだが、"テクノロジー"でもなく"スキル"でもなく、"技術"ついて考える機運が来ている気がしている
さやわかさんのブログを読んでも、"技術"という概念が気になっている
ハイデガー的な技術論も関係しているのかもしれないが、ちゃんと読めたことがないので、よくわかっていない
ビデオポッドキャストの面白さがわからない - 世界のねじを巻くブログ
自分もわからない側だが、世の中には人の顔が見えることが重要な人というのが、かなりの割合でいるんだとは思っている
そもそもPodcastだって、一体我々は”何”を聞いているのだろうか?という話はあるので
6.Other
【連載】名前のない美術史:この10年と100年のアート #1。バイブスの時代(文:布施琳太郎)
バイブ(ス)論、めっちゃおもしろい 「GOKU VIBES」とバイブ・コーディングを並べて考えるのは、すごいな
このバラバラなものをうまくまとまているなと思ったが、まだしっくりきている感じはなくて、 それは、多分自分はそもそも”バイブ・コーディング”という呼び名が、頭では分かりつつも、なんとなく腹落ちしていないからなんだなと思った それがなぜなのかは、まだピンときていないが
そもそも「システムを作る」一連の営みの中には、そもそも”バイブス”的なものが、相当程度含まれているからかも 要件なんて、だいたいあってないようなものだからな、、、(もちろん実際にコードに落とす部分になれば話はまた別だが)
6割超がSNS依存を自覚、「成人のSNS利用に規制が必要」との回答は7割に迫る~Job総研調査
多くの人が自身はSNSを適切に利用できていると思っているが、同時に多くの人が規制が必要だと考えているのは興味深いな、、、
“6割以上がSNS依存を自覚”
”8割以上がSNS利用にリスクを感じている”
”8割以上がSNSを適切に利用できていると回答”
”全体の3分の2以上が「成人のSNS利用に規制が必要」”
最近自分が出したもの
スマホを捨てて街に出ると……? 〜”毒”を味わう自己防衛と、情報から逃避する時代の空気〜 - 余白のエクリチュール | Podcast on Spotify
デトックス、とりわけデジタルデトックスについて話した回です。なぜか、言語化ブーム的なアーカイブ肯定派とAVYSS界隈のアーカイブ抵抗派の動きの話に行き着きました。
参考記事はこちら→https://www.notion.so/2026-05-22_-54-3661d2f9389a80eb9ddcc0b1d62c3f19
Editor's Note
自分が最近よく考えることの一つに、2010年から2020年にかけて、スマホの普及率から4%から90%近くにまでなったということがある。まさしく2010年代は、スマホの時代だった。
安易な技術決定論にしてはいけないと思いつつも、やはりこの変化が与える影響は大きいだろう。
世界中で急激に出生率が減少しているのは「スマホとSNS」のせいかもしれないを読んで改めてそう思った。
因果関係がどこまで定かなのか、は議論の余地があるだろうが、テクノロジーがここまで多くの個人に普及すれば、人間の行動様式が大きく変わるのは間違いなく、その結果として、これまでの社会の考え方の根本に影響するようなな変化を与えることも容易に想像がつく。
“研究者らは、スマートフォンが若者の交流の仕方を変え、対面での交流が大幅に減ったことが出生率の低下につながったと主張”という点については、最近特に感じることが多い。対面の交流が減り、インターネット上でのコミュニケーションが著しく増えたことによるのか、SNSを見ていると、”会話”というものが何か別のものに変質してしまった気がする。
話がおもしろいってどういうこと? | 考えすぎフラグメンツ #57 - YouTubeは、改めて、そもそも”会話”ってなんだっけ?について考える、とても興味深い回だった。
SNSは良くも悪くも、個々人が言いたいことをただ一方的にぶつけるだけだが、”会話”というのはそうではない。
話はテクニックではなく、「自分が見えているか」と「世界(相手)が見えているか」という、”認識”の問題だという、青木さんの主張はまさしくその通りだと思った。
奇しくも、今週配信されたビービット藤井さんのニュースレターでも、同じような話をしていた。
自戒を込めてだが、SNS上のやり取りは情報のやり取りは得意かもしれないが、テキストという無機質なやり取りだけでは、自分と相手の「認知世界」を近づけていくという営みには、不向きだ。コミュニケーションにおいては、その前提をしっかり持っておく必要がある。
とはいえ、これだけ個人化が進んだ世界において、一体何が合意できるのか?という点は本当に難しくなっている。
新しく始まった哲学者の柳澤田実さんと、デサイロ代表の岡田弘太郎さんによるPodcast・2020sの初回は、ピーター・ティールについてだったが、終盤に出てきた「アメリカでは金が唯一の共通言語になっている」という話では、結局合意できるのは、そこしかないのか、と考え込んでしまう。
第二回の『テクノロジカル・リパブリック』に関する回で話されていた「価値を表面することが困難になった重症な時代」という点についても同根だろう。何かを合意するためには、”会話”が必要で、そうやってお互いの「認知世界」を近づけていく必要があるにも関わらず、我々は個々人の価値を表明することができなくなり、何についても”会話”は通り一辺倒の内容にしかならずに、空転してしまう。結果として、できることは、”金”の話しかない。書いていて、なかなかに苦しいが、事実そうなんだろうなと思うほかない。
あまりに陳腐な話ではあるが、人の繋がりを取り戻すために、テクノロジーとの付き合い方を変えて、心地よい”アルゴリズム”に委ねるのではなく、自身で”認識”を広げていく営みが必要なことは間違いない。同時多発的にこういった話が出てきていることは、何かの萌芽とも見ることはできるかもしれない。
しかし、多くの人が自身のSNS依存を自覚しリスクを感じながらも、適切に利用できていると考えている一方で、同時に多くの人がSNS規制は必要だという、アンビバレントな状況。
この状況において、それを人々が望むのか?は正直わからない。果たして、この道の行き着く先はどこか。ピーター・ティールやアレキサンダー・カープには一体何が見えているのだろうか。





