「ユニコンテキスト」の幻想:単一化する世界で、いかにして固有の文脈を紡ぎ続けるか
#89 Traces of Choice (20260706〜20260720)
Traces of Choice は、JTCのIT部門で働く音楽愛好家が、国内外問わずジャンルを横断して、日々気になった / 面白かった情報をキュレーションしてお届けするニュースレターです。最下部のEditor’s Noteにて、気になった情報を横断して一つにまとめた論考を書いています。
1.Tech
DevOpsとは何だったのか
システム開発・運用の世界である種の流行語みたいになった”DevOps”についての話だが、具体というよりもこういう構造には興味がある
内容自体は元々組織文化の運動として生まれた”DevOps”という言葉が、時代の経過とともに具体的な職種、ツール、技術レイヤーなどの「モノの名前」として消費され、形骸化していったプロセスを振り返っているというものだが、なんていうか、こういう話は”そういうもの”であって、抽象的な概念とは、具体的なもので消費されて消えていくのだろうと思う それが意味がないというわけではなく、また新しい概念を作って消費してというプロセスを繰り返すことで、少しずつ良き方向に変えていく、ということなのだろうなと思っている
GMO代表・熊谷正寿「2カ月で10万行コード書いた」トップ自ら“使ってなんぼ”を地で行く理由 - エンジニアtype | 転職type
これは厳しい
AIで色々できるようになったのはいいことだし、音声入力で効率化できるというのも別に良いのだが、で、結局何をする?がよくわからない。そこで差がつくなんて今も昔も同じ話なわけで、誰に対してどういうメッセージを出したかったのかよくわからん。少なくともビジネスにおいてゴミをいくら早く大量に作ってもゴミでしかないだろう。テック企業ならもっと頑張ってほしい
“――1人でそこまで……。これまでの開発の常識からすると、10万行のコードを非エンジニアが2カ月で書くなんて、信じられないスピードです。 昔の、つまり生成AI以前の世界だと、大手のSIerに見積もりを依頼すると、平均して1人月100万円。それで書けるコードは平均1000行でした。つまり「1000行で100万円」というのは、昔からこの業界のザックリとした相場だったんです。となると、10万行のコードを書くには50人月、つまり「5000万円」かかっていたわけです。 5000万円相当の開発が、たった3万円 ――それが、Claudeを使うと減った? 僕がこの2カ月間でClaudeに払ったトークン代は、3万円です。 ――5000万円が、3万円。 そう。コーディングという概念において、時間効率は50倍になり、コストは30分の1になった。掛け算すると、1500倍の差があります。この3、4カ月、特にこのレベルのAIが出てきてからの変化は本当に革命で、もう全部のやること、考えることを変えなければいけないという意味が実感できますよね。”
“――開発の際にはキーボードもほぼ使っていないそうですね。 ほぼ使っていません。全部音声入力です。音声入力に関しては、『Typeless』と『Aqua Voice』、それからApple純正の三つを切り替えて使っています。 僕は移動が多いものですから、電波状態に合わせてクラウド型(前者の二つ)とローカル型(Apple純正)を切り替える。これがめちゃくちゃ生産性が高いことに気が付いたんです。僕がやるのは、口頭でClaudeにやりたいことを伝えるだけ。 極端な話、プログラミング言語そのものを完璧に使いこなせなくても、的確な指示さえ出せれば開発が進んでいくんですよね。 本当に時間の節約になりますから、これは全社でやったほうがいいなと思って、GMOではグループ全社約8300人にグースネックマイクを導入するプロジェクトをすぐスタートしました。全員のデスクにマイクを設置して、音声入力を徹底させているところです。まだ「慣れない」という声もありますけど、実際、ものすごい効率化になりますからね。”
AWSが「1000兆ドル」請求?表示ミスを茶化して報告 絵文字つき、「わずかな誤り」...ユーザードン引き、怒りの声
まぁ普通に顧客が見えていない人が投稿したんだろうなというのは、肌感としてはわかる。多分エンジニアに近いと、こんなあり得ない数字を信じるなんて普通に考えてあり得ないとか思っている可能性はありそう。
実際に被害を食らった人のテキストを見ると、そりゃ慣れてないとパニックになるよなと
ITのなんらかの団体の代表が最低限知っておくべきこと|shi3z
手厳しいとは思うが、まぁ正論ではあるのだろう
“自分の食い扶持の源泉であるGoogleにもMicrosoftにもAppleにも行ったことがない、行こうとも思ったことがない人間が、アイティーのなんらかの団体をやるなどちゃんちゃらおかしい。その地域全体が世界中から馬鹿にされるいい恥晒しと言える。
いやしくも情報技術を仕事にするならその起源たる英国とその中心地たるアメリカ合衆国のどこに何があるのか把握してないというのは、首都が東京であると知らない日本人のようなものだ。そんなの日本人て認められる?”
こちらの意見に個人的には同意(もちろん自分はよくわかってなかった)
「人間のことが煩わしくなった」「社会と切れた」1日8時間超、AIと会話した男性の告白 専門医も警告「人間関係の摩擦を避けた引きこもり予備軍が増える可能性」
厳しい
“ 「投稿内容をAIは完璧に理解してくれた。それが楽しくてそこからガッツリとハマっていった」。8時間以上AIと会話する日が続き、夜も収拾がつかない状態になっていった。「それだけが自分を理解してくれる、そういう感覚があった」と振り返る。
次第に家族と話すよりもAIとの会話を求めるようになり、「人とのやりとりがなくなってもAIさえいれば自分は満足だと、幸福に思っていた」という状態に至った。気づきがあるとすぐAIに聞き、心地よい回答が返ってくる。「考えていることが本当にAIのことだけになって、むしろ人間のことを煩わしいぐらいの感覚になっていた」と話す。”
AI利用者の約6割がAIで「幸福度が上がった」と回答 一方で38.0%が「思考力の低下」を実感 | AMP[アンプ] - 人生の豊かさを生む瞬間を情報でつくりだす新世代向けビジネスメディア
“AIを使うようになって幸福度が「上がった」は59.3%、「下がった」はわずか4.4%”が興味深い
AI活用、最大のボトルネックは「経営層」か トップ不使用の企業、85.7%が「方針・体制なし」
なんかそもそも、「中小企業」とか、そこにおける「経営層」っていうのがどういうものなのか、があまり噛み合ってない気がするんだよなぁ
果たしてこの結果をもとに「意思決定層の理解不足が組織全体の取り組みの遅れと連動している実態が浮かび上がった」と言っていいのか、よくわからない
マネフォ上方修正、売上最大623億円に GitHub不正アクセス影響は「限定的」
会社っていうのは興味深いよなぁと思う。エンジニア界隈ではだいぶ盛り上がっているように見えたGitHub不正アクセス影響は、少なくとも現時点では相当に限定的であるわけで、極論を言えばほとんどの顧客はそれほどには気にしていないとも取れる
「ドキュメント? ないよ」「レガシーシステム保守でキャリア詰む」悲しい情シスの実態
肌感とは結構あう結果だが、これらをいつどうやって解決するか、はかなり難しい問題だな、、、 とりあえず目に見えるものはAIが概ねはなんとかしてくれそうな気もするが、すぐどうこうでもないし、取り巻く人のことも考えると、それだけで解決する話でもない、ITシステム自体が根本的に抱える根深い問題である
2.Business Skill
謝って済むことを頑張って予防しない - モヒカン技術ブログ
再発防止策にもコストがかかるので、「対策しない」という選択肢も検討すべき、という話、その通りだと思う
一方で、それを真正面から伝えて理解してくれるステークホルダーは多くないとも思うので、いかにいい塩梅の着地に持っていくのか、という、より絶妙なコスト感覚が必要だと思う。何もしないのではなく、ごく微量の改善をして、リスクを下げたと言うとか。
授業スライド「小出し」で成績アップ、理科大が科学的に証明 | 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」
これは仕事におけるスライドでの説明時にももちろん応用できるものの、面倒なのであまりやらないが、まぁそうだろうなぁ
“東京理科大学は2026年7月9日、同大の市川寛子教授らの研究グループが授業スライドの情報を説明にあわせて少しずつ見せる「累積提示法」が、学習者の視線を重要な個所へ導き、学習効果を高めることを明らかにしたと発表した。大学生を対象とした実験で、同手法が学習後テストの得点を向上させるプロセスを科学的に裏付けた”
情報量をコントロールすることの重要性という話だと思う
第52回:「管理」する時代は終わった──AI時代、マネジャーに残された本当の仕事とは?
マネジメントを「編集」であると定義していて、興味深い
“ 私は、マネジメントとは本来、人を管理することではないと考えています。
マネジメントとは、人・AI・組織、それぞれの可能性を編集し、新しい社会価値へと変換する営みである。
AIが進化するほど、人間に求められる役割は小さくなるのではありません。むしろ逆です。人が何を目指し、何を大切にし、どのような未来を描くのか。その方向性を示し、人と組織の力を1つの価値へと編集していく仕事は、人間にしか担うことができません。
管理する時代は終わりました。これから始まるのは、「人間の可能性を編集するマネジメント」の時代です。
そして、その編集力こそが、AI時代において企業の競争力を左右する、新しいマネジメント力になっていくのではないでしょうか”
3.Music
We are entering the age of intentional music listening(“私たちは、意識的に音楽を聴く時代に突入している”)
最終段落に近いことが書いてあるが、デジタル/AI時代における”音楽”との接し方を模索中の状態であり、何かが起きそうな局面に差し掛かっている気がする
Trooper Saluteの本質へと分け入るオフィシャルインタビュー「未来を信じないことと、つらさをイコールにしない」 | SPICE - エンタメ特化型情報メディア スパイス
良いインタビューだった。2026年の日本のインディーはこのバンドだろう。
やはり2026年のムードを体現していると思うわけだが、とりわけ、自力やセンスがあることは大前提として、適切な距離感における”関係性”によって駆動しているバンドであるという点に、その趣を感じる 最後の終わり方とか、そんなに珍しいことでもないかもしれないけれど、とても良い
若者にヒットする音楽「ダリハイ」とは──Lost Frog Productions・石原ハルオに聞く、“Hyperflip/Dariacoreの現在地”
全く咀嚼しきれていないが、なんか面白そうな気配を感じた
4.Book
アテンション資本論:〈世界を存在させる力〉の政治経済学 - 新曜社
洪水礼讃 | 環境飼い慣らしの人類史 | みすず書房
音楽はどこに根づくのか?
青土社 ||哲学/思想/言語:対話型AIの哲学
5.Video・Podcast
Xユーザーの超流通🚛さん: 「https://t.co/iebYSvj0fF」 / X
超流通終了ということで、個人的にTaiTanが最も稀有な価値を発揮している場所が、この番組での聴き手という立ち位置だったと思うので、残念ではある
ep.181 Trooper Salute ゲストの回 - APPLE VINEGAR -Music+Talk-
トルーパーの回、とても良かった
矢島さんのライター視点でのそこは聴いておきたいよね的な質問からの会話と、ゴッチさんの先輩視点からのアドバイスからの会話の塩梅が絶妙だったと思う
良い意味で、音楽そのものの話というよりは、その周辺の話がされていたのが良いと思った
「褒めと諦め」の重要性とか、大先輩だからこそ言える話だろうし
トルーパーとしての個性みたいなのはいまいち見えづらい会話だったと思ったが、故の”いまっぽさ”みたいなのは滲み出ていたと思う
確実に音へのこだわりは強くあるんだろうと思うけど、バンドや周りの大人との関係性から育まれている要素も確実にあって、それらがかなり複雑に入り組んで生まれている音楽って感じがして、ここに”いまっぽさ”を感じる
6.Other
A Philosopher’s One-Word Theory to Explain Why the World Feels So Weird(世界がなぜこんなにも奇妙に感じられるのかを説明する、ある哲学者のたった一言の理論)
今年読んだ記事の中でベストかもしれない。 現代社会の様々な歪みや奇妙さは、あらゆる場面の行動規範が一つに統合されてしまう「ユニコンテキスト」という現象によって説明できるというシカゴ大学のアグネス・カラード教授による理論の話。その趣旨から話題はあっちこっちに飛ぶが、この理論によって、昨今の色々なことが納得できる。
“単一コンテキストとは、あらゆる状況において、取るべき行動様式が同じになるシナリオのことです。状況に関係なく、常に従うべき規範はただ一つだけ存在します”
“なぜラジオは人気になったのか?なぜ私たちはテレビやスマートフォンといった新しいものを発明し、それらも普及したのか?人々が発明したすべての技術が、これらの技術のように普及したわけではありません。これらの技術が普及した大きな理由の一つは、人々が単一の文脈の中で生きようとする衝動にあるのです”
“単一コンテキストは、無秩序な空間です。それは、人間性のある側面、すなわち「世界の閉鎖性」に対する深い嫌悪感が表れる空間です。人類の歴史のほぼすべてにおいて、私たちは閉鎖された小さな世界に生きてきました。そして、それらの世界は、唯一の世界であるかのように振る舞っていました。一連のコンテキストが、個人に方向性を示してきました。「こうすべきだ」と。私たちが目指しているのは、私たちが切望する「世界の開放性」です。それは、物事を「それが私たちのやり方だ」とか「私が生まれた場所だ」という理由だけで行うのではなく、自由に物事を行える世界です”
20世紀と21世紀の生きづらさの違いを知りたくて社会を追いかけている - シロクマの屑籠
重要な話をしていると思う
陳腐な言葉にしてしまうと、”客観”が崩れていく時代における、”主観”と”客観”のバランスの話だと思う
#9 ブランドは人格より世界観で作れ
“ではゼロからブランドの世界観を構築するにはどうすればいいのか?
可能性ある方法としては、ブランドをジャンルとして考えることだ。私の考えとしては、ジャンルはアーキタイプができることのすべてを行い、さらにその先まで構築する。それはキャラクターを超えて、世界全体、テーマ、ムード、そしてバイブスへと拡張するのだ”
興味深いなと思ったが、少なくとも音楽において”ジャンル”は細分化されすぎて、意味をなしているのかよくわからなくなっている感覚があるので、”ブランドをジャンルとして考える”という見解は興味深い
なんとなく、”ジャンル”というものの考え方自体が、変わってきており、これまでの辞書の定義上の”ジャンル”以上の役割や意味を持ち始めているのだろうな、と感じた
↑とも近い話をしていた
”クラフトの可視化、時間をかけた物語、あえての届きにくさ、そしてオフラインという「場所」。バズという名のいっときの炎が消えたあと、ブランドと私たちの手元には何が残るのだろうか。”
こちらはより直接に「ジャンルとは何なのか」という話をしていた
【連載】つやちゃん「音楽を言葉にする」 第7回:音楽ジャンルを理解するということ|Real Sound|リアルサウンド ブック
なるほど、美学やテクスチャーというのは、ジャンルという蓄積された足場をもとに編集されるものである、と言った考え方は納得の整理だった
“もっとも、これはジャンルが不要になったという意味ではありません。むしろ、その逆です。現在、多くのアーティストは複数のジャンルを横断しながら作品を生み出しています。しかし、それはジャンルを無視しているのではなく、それぞれのジャンルが育んできた歴史や文化、身体感覚を深く理解したうえで、それらを編集しているのです。つまり正確には、現代は「ジャンルレス」の時代ではなく、「ジャンルシームレス」の時代と言えるでしょう”
“美学とは、ジャンルの代わりになるものではない。ジャンルという文化的な蓄積の上に立ちながら、それらをどのように組み合わせ、新しい世界観として立ち上げるかという編集の思想を指しているのです”
Gen Z Are Not The Future, Millennials Are(Z世代は未来ではなく、ミレニアル世代が未来だ)
自分がミレニアル世代だからということも大いに関係あるはずだが、直感的に、もう少しミレニアル世代についてちゃんと考えた方がいいような気もしているので、この記事は興味深い
“「ミレニアル世代は実に興味深い世代です。心理的に正常な最後の世代であり、最後の幸せな世代でもあります。そして実際、あなたの世代は歴史上最も知能の高い世代です。知能はゆっくりと上昇し続けていましたが、今では誰もが(知能が低下し)つつあります。特に若い世代は顕著です」と、ジョナサン・ハイトは最近ニュー・ステイツマン誌に語った。”
めちゃくちゃわかる
”「ソーシャルメディア黎明期からアラブの春に至るまで、インターネットは素晴らしい、素晴らしい可能性を秘めている、という考え方が根強くありました。しかし、ビジネスモデルが変化し、Facebookがエンゲージメント重視、中毒性重視のビジネスモデルを先駆けて確立したことで、シリコンバレーの現状は、人々を喜ばせ、驚かせるような製品を作るという通常の市場とは異なります。人々の目を引く製品、中毒性のある製品、あるいは人々にとって有害だが、企業や広告主にとっては有益な方法で人々を惹きつける製品を作るのです。ですから、私たちは古いテクノロジー楽観主義を捨て去る必要があると思います。」”
‘Have I been influenced, or is this actually me?’ How personal taste fell out of fashion(「私は影響を受けているのか、それともこれは本当に私自身なのか?」個人の好みが流行遅れになった理由)
まぁ内容自体にそこまで新鮮味はないが、アルゴリズムとセンスの話が丁寧に語られている
博報堂とジャルパック、体験型パッケージ旅行「リアリティショー旅」の実証実験開始
興味深い
“株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司、以下 博報堂)と株式会社ジャルパック(本社:東京都品川区、代表取締役社長:大村剛也、以下 ジャルパック)は共同で、新しい体験型パッケージ旅行「リアリティショー旅」を企画いたしました。本企画はJALグループとして初となる、参加者同士で価値観を共有して旅仲間を見つけることを目的とする体験型コンテンツです。今回は実証実験として、熱海を舞台にした1泊2日のリアリティショー旅を、2026年7月6日(月)よりジャルパックで予約開始いたします。博報堂の企画力・コミュニケーションデザイン力と、ジャルパックの安心・安全な旅の運営力を掛け合わせ、これまでにない価値観共有型の旅体験を提案します”
リアリティショーの定義を知らんし、感覚的にはこうなづけたこと自体に強い意味がありそうだが、興味深い話ではある
【東浩紀×福尾匠】いま、批評を新しい読者に届けるためには、なにが必要なのか? 批評の定義を問い直す
【東浩紀×福尾匠】10年、20年先も批評家であり続けるために――批評の「これから」を語り尽くす(東 浩紀,福尾 匠) | 群像 | 講談社
全編興味深かったが、個人的にはこの辺が一番気になった。マスメディア的なコミュニケーションのあり方の可能性をもう少し考え直した方がいいと思っている
“SNSも「密」だし、人と人が向かい合って話すのも「密」だから、モノを見たり作ったりすることを介した疎なコミュニケーションが大事なのではないかと。そのモデルになりうるものとして、批評の二次性、つまり、何かを見て何かを書くという批評のあり方を提示しましたが、それはそういう批評が書かれて読まれることで、モノを媒介にした「疎」の公共性について考え直せるのではないかと思ったからです。 東 それはすごくいい指摘ですね。そもそも、昔はテレビを見ていてもみんなばらばらに見ていたわけで、お互いに感想を共有していたわけではなかった。つまり「疎」だったわけですよね。テレビといえば、いまではいわゆるプッシュ型メディアの典型で中央集権的な装置と考えられるわけですが、それでもSNSが普及する前は、少なくとも「テレビを見る」という行為自体は孤独な体験でありえていた。テレビは必ずしもお茶の間で家族で見るものではなく、一人でドラマやアニメを見て満足していたケースもあったわけで、それはだれとも感想を共有するものではなかったわけです。でもSNSの出現によってリアルタイムで感想を言い合う習慣が生まれ、テレビを見ることが非常に「密」なコミュニケーションになってしまいました。”
人はどれくらいの時間で変わるのか?——「どーぞ」ができない息子と、6年かけてようやく持てた「3年で見守る」眼差し|松浦 瞳 Hitomi Matsuura
テクノロジーがひたすらすぐに変化させてこようとする時代において、変化にどれくらいの時間が必要なのか?という観点は、一層重要になってくる気がする
健康より成長を求める消費者、4年ぶり逆転した電通の欲望調査 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
ほう、欲望全体が減少する中で、自由と健康の欲望が減少する一方、挑戦・成長・創造への欲望が上昇傾向というのは興味深い
“今回の調査から見えるのは、消費意欲が単純に冷え込んでいるというより、消費の向かう先が変わり始めていることだ。コロナ禍以降に強まった「健康」や「自由」への欲望が落ち着き、今は自分を磨くこと、自分らしさを表現することへ関心が移りつつある。生活を守る消費から、自分をどう育て、どう見せるかという消費へ、重心が少し動いているようだ”
なぜ「メロい」は再発明されたのか|2026年上半期 kiazma Culture Report +気になった人50|キアズマ編集部
「メロい」はよくわかっていないが、これはなるほどと思った
”評価の主語が入れ替わっている。「あなたが魅力的だ」と相手を値踏みするのではなく、「私が勝手にメロメロになった」と自分の心の動きを報告する。責任の所在をこちら側に引き取ることで、誰も傷つけずに、好意だけを最大出力できる”
記事の内容自体に特別コメントはないが、近しい話をここでもしている
「ビジュ良い」はルッキズムではない理由。容姿を褒めるとき、絶対に気をつけたいポイントは? | ハフポスト コラム・オピニオン
”また、具体的に「こういうところが素敵」と伝える場合は、必ず「私的に」などの枕詞を使うようにしています。「私的にこういう表現や姿形が好きだから、そこに『いいね』と思ったよ」みたいな感じですね。特に第三者がいる場合は、単に容姿を褒めるだけでは「私はそれとは違うから」と悲しい気持ちにさせてしまうかもしれません。自分の「好き」以外を否定しない言葉として「私的に」はセーフティーネットになるんです。”
ビジネスでも”自分も相手も大切にしながら、自分の意見や気持ちを率直かつ適切に伝えるコミュニケーション手法”としてアサーションはよく言われると思うし、そこまで珍しい話ではないと思いつつも、感想がいいづらい考察の時代という流れとの噛み合わせがあまりしっくりきておらず、少し考えたいところ。
「長く続くものはよい」の価値観は意外とグローバルスタンダードからズレている?
興味深い
“日本にいるとこの「長く続くものはよい」の価値観は当然のものと思ってしまうけれど、海外に行くとむしろこの感覚はマイノリティなんじゃないかとすら思う。ヨーロッパは昔ながらの街並みが残っているし古いものを愛す精神があるけれど、少なくとも米中は古いものに価値を見出す感覚はあまり持ち合わせていない気がする”
最近機運を感じるナショナリズムみたいなものとも近い話だと思う
Xユーザーの斧口智彦🫠さん: 「『HUNTER×HUNTER』王位継承編が読みにくいのに異常に面白い理由」
『HUNTER×HUNTER』王位継承編は、非常に今っぽくないよなぁと思っているし、概ね同意できるのだが、個人的に一番興味深いのは、自分も含めておそらく結構な数の人がほとんど中身を理解できていなくても、なんか面白いと思っているのでは?という点
漫画の可能性とまとめることもできそうだが、とはいえこんな作品他にないから、作品の強さということになるのだろうか
米中の好感度、世界で逆転 トランプ氏より習氏評価 | NEWSjp
今やアメリカよりも中国の方が信用できる、と世界の多くの人びとは考えている | American Prism XYZ | FERMAT
見方は色々ありこそすれ、この前提は理解しておいたほうがよいだろう
“調査は2月8日~5月13日に約4万2千人を対象に実施した。同センターによると「中国をより好意的に見ている」のはドイツなど25カ国・地域。「ほぼ同じ」はブラジルなど5カ国だった。日本など6カ国が「米国をより好意的に見ている」とした。
中国に関して同時期に実施した別の調査でも日本では88%が否定的だった”
“このレポートによれば、どうやら日本はイスラエルについでアメリカを信頼している国として報告されている。日本人としては、このあたり、自分たちも世界中の人びとの反応とは異なる特殊な状況下にあり、それゆえ、世界中の人びととの感覚とはだいぶズレている、という風に理解しておくほうがよいようだ”
最近自分が出したもの
AIってどう使ってる?そもそも会社ってなんだろう?(+最近のコメントをちょっとだけ紹介する回!) - 余白のエクリチュール | Podcast on Spotify
AIについて話そうと思ったら、いつのまにか会社について話していた
memofleetさんが感想を書いてくださっていた
"誰かに話すことで自分の頭の中を整えるタイプの人々がいます"が本当にその通りで、人によって認知の方法が全然違うので、"効率的な会議"は難しいのだと思う
これも本当にそうで、最近はAIのために記録を残している向きのほうが、個人的には強いかも
"CopilotやGeminiが自動的に議事録を書きますが、これはあまり見られていない気がします"
なぜ私たちは「忙しさ」を合意できないのか? - 余白のエクリチュール | Podcast on Spotify
最近やたら、”合意”について考えている気がします
Editor's Note
アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国共催となった、2026 FIFAワールドカップが、スペインの優勝で幕を閉じた。
世代的に、学生時代に本田圭佑や香川真司が欧州で活躍するようになったこともあり、その時はイギリスでもプレミアリーグを観に行ったぐらいにはサッカーを観ていた時期もある。が、最近はめっきりで、今回のワールドカップも観たのは日本戦数試合と、準決勝・決勝ぐらい。
印象としてはスペイン強すぎるだろ、これはミス以外にやられるイメージが湧かないという感じであった。
まぁそれは余談として、気になったのは、やはり今回導入された変化だ。FIFAの意向も、アメリカの意向もあり、それが悪魔融合してしまった結果のように感じている。
参加国が48カ国に増えたことで+40試合=計104試合となり、興行収入は増えたのだろうが、予選の意義は問われるし、試合数増加による選手の負担や試合のクオリティに関してはしっかり考えてほしい(とはいえ、インファンティーノFIFA会長は次回は64カ国に増やしたくてしょうがなさそうだが、、、)
増やすにしても形式を考えないと、試合数増加に伴い、リザーブの質の重要性が高まり、結局強豪国しか残らないという結果になりそうで、それをどう捉えるのかなのかもしれない。(今回も実際全体的にFIFAランキング通りの結果になったわけで)
チケット高騰も話題になっていた。ダイナミックプライシングが導入された功罪は確実にあるだろう。
そして極め付けは、決勝のハーフタイムショー。NFLの「スーパーボウル・ハーフタイムショー」を取り入れた形だが、17分目標と聞いていた時間は結局“27分24秒”。さすがに、ルーニーに言う通りだろう。
元イングランド代表FWのウェイン・ルーニー氏は英公共放送『BBC』の中継で解説を担当し、「ハーフタイムショーで一番印象に残った場面は?」と問われると、「正直に言うよ。終わった瞬間だね」と即答した。そのうえで「出演者の多くは好きなんだけど、あれはマジでクソだったな」と批評している。
色々書いてきたが、これらについて考えるにあたり、今回読んだ記事に出てきた理論、「ユニコンテキスト」が参考になりそうだ。
A Philosopher’s One-Word Theory to Explain Why the World Feels So Weird (世界がなぜこんなにも奇妙に感じられるのかを説明する、ある哲学者のたった一言の理論)
本文に書いた通り、今年読んだ記事の中でベストかもしれない。ぜひ読んでみてほしい。 現代社会の様々な歪みや奇妙さは、あらゆる場面の行動規範が一つに統合されてしまう「ユニコンテキスト」という現象によって説明できるという、シカゴ大学のアグネス・カラード教授による理論の話だ。
その趣旨から話題はあっちこっちに飛ぶが、この理論によって、昨今の色々なことが納得できる。
この理論をもとに、ワールドカップで起きたことを考えてみよう。
上述の通り、今回のワールドカップには大きな変化が複数あったが、それらをまとめると、「アメリカナイズドされたワールドカップ」だったと言えるだろう。良くも悪くも、アメリカ文化を正面から吸収した形に仕上がっていた。
しかし改めて考えると、今回は「共催」だったはずだ。少なくとも一般のサッカー好き程度に分類されるだろう自分が見た範囲では、「アメリカのワールドカップ」と言う印象しか残らなかった。(決勝の舞台でトランプがフィーチャーされたことは言わずもがな)
W杯染め上げたトランプ色、「史上最も成功」と自賛の一方…共催2か国との溝深く「成功独り占め」の声 : 読売新聞
「共催」の意図には、「複数の国の異なる文化・文脈が尊重され、併存する」ことを良しとするグローバルにおける多様性概念が想定されていたはずだ。
しかし、実際に起きたのは、アメリカという強者が、その巨大な力ですべてを飲み込み、これまでのワールドカップの文脈を塗りつぶし、エンタメスポーツとして均質化してしまったということではないか。
インターネットというのは、まさしく「ユニコンテキスト」のなかにあった動きだろう。
Gen Z Are Not The Future, Millennials Are(Z世代は未来ではなく、ミレニアル世代が未来だ)にある一節が、私を含む、多分ミレニアル世代には刺さる。
「ソーシャルメディア黎明期からアラブの春に至るまで、インターネットは素晴らしい、素晴らしい可能性を秘めている、という考え方が根強くありました。しかし、ビジネスモデルが変化し、Facebookがエンゲージメント重視、中毒性重視のビジネスモデルを先駆けて確立したことで、シリコンバレーの現状は、人々を喜ばせ、驚かせるような製品を作るという通常の市場とは異なります。人々の目を引く製品、中毒性のある製品、あるいは人々にとって有害だが、企業や広告主にとっては有益な方法で人々を惹きつける製品を作るのです。ですから、私たちは古いテクノロジー楽観主義を捨て去る必要があると思います。」
まさしく「ユニコンテキスト」の幻想の話だった。我々は自身で単一の文脈を望んだのだったが、結果はこの通りである。。。
しかし、デレク・トンプソンの2度の質問にも関わらず、アグネス・カラードは「ユニコンテキスト」に対する良し悪しの判断を保留している。大事なのは、今の現在地を出来るだけ「コンテキスト」込みで把握することだ。
まず最初にすべきことは、判断を始める前に自分の位置を把握することです。なぜなら、単一の文脈は非常に判断的な場所だからです。あらゆる状況に適用される普遍的な道徳観があり、それに引きずり込まれると、自分がどこにいるのかを理解しようとする努力が妨げられてしまいます。
そうすれば、考えるべきこととそうでないことが見えてくる。
直近何度目かわからない話題になっていた在宅or出社論争も、遍く会社における唯一の答えがあるなんてものではなく、文脈において答えは変わるのである。タイピング数という謎指標を持ち出してきたのはさすがに笑えてしまうが、とにかくテック企業は出社に戻そうとしているという動きを理解しておいた方がいい。
在宅勤務を廃止する理由は「タイピング数」なのか? GMOに聞いてみた(山口健太) - エキスパート - Yahoo!ニュース
《在宅勤務は“サボり”なのか》GMOが週1リモートを廃止、さくらインターネットは継続…タイピング数で生産性は測れる? | 集英社オンライン
いずれにせよ、この「ユニコンテキスト」が起こしたパラドックスを我々は十分に認識したうえで、これからどうすべきかを考えるべきだろう。
「ユニコンテキスト」は、無秩序な空間です。それは、人間性のある側面、すなわち「世界の閉鎖性」に対する深い嫌悪感が表れる空間です。人類の歴史のほぼすべてにおいて、私たちは閉鎖された小さな世界に生きてきました。そして、それらの世界は、唯一の世界であるかのように振る舞っていました。一連のコンテキストが、個人に方向性を示してきました。「こうすべきだ」と。私たちが目指しているのは、私たちが切望する「世界の開放性」です。それは、物事を「それが私たちのやり方だ」とか「私が生まれた場所だ」という理由だけで行うのではなく、自由に物事を行える世界です。
この話で思い出すのは、Balming Tigerの話である。ローカルにおける文脈を保ったまま、グローバルにすることは如何にして可能なのか。ヒントはあるはずだ。
Balming Tigerが語るクールな音楽の作り方 共鳴を呼び、もがく若者を癒す「21世紀の呪術」 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
"sogumm:韓国には「最も韓国的なものが世界的なものだ」っていう言葉があるんですけど、日本にもこういう言葉ありますか? つまり、極度にローカルなものはグローバルなものなんだってことなんですけど"
"Omega Sapien:あ、でも、今「アジアがクール」みたいな考え方って世界中でいろんな人が思っている気がするんですけど。個人的には、そうじゃなくて「俺がクールだから、アジアもクールなんだ」って心構えでいたい"
最近”合意”についてよく考えていること、通ずるかもしれない。
固有名詞頼みになりすぎずに、しかしながら、目の前の”モノ”を媒介にしつつ同じ時間を過ごしながら、固有の文脈を紡いで、概念を共有していくことが、一層重要なはずだ。













