偏差値60の幻想を捨て、社会を泥臭く編み直す
#83 Traces of Choice (20260510〜20260517)
Traces of Choice は、JTCのIT部門で働く音楽愛好家が、ジャンルを横断して、日々気になった / 面白かった情報をキュレーションしてお届けするニュースレターです。最下部のEditor’s Noteにて、気になった情報を横断して一つにまとめた論考を書いています。
1.Tech
ソーシャルメディアは死なない。ただゾンビとして残るだろう
めちゃくちゃ重要な話だ、、、 そうか、「ソーシャルメディア」が壊れたのは、「パラソーシャルメディア」という、もはや誰とも繋がれない、本来の場所から全く別物になったからか
だからこそ、本来の「ソーシャルメディア」の役割は、”グループチャット、招待制コミュニティ、暗号化された対話空間といった私的な空間である「小さな庭」”に移行するというのは、すでに起きていることだな
この辺の話、興味がある
Social Media Is Now Parasocial Media - danah boyd, 2026(ソーシャルメディアは今やパラソーシャルメディアだ)
こちらも
OSF | Towards a Post-Social Media Studies(ポストソーシャルメディア研究に向けて)
これも面白い
“SNSでのツイート、ポストは、「誰かわからない第三者」もしくは「フォローしている誰か」のツイートポストを読んでいるつもりでも、実際のところは、アルゴリズムを支配している『運営』のメッセージを読まされて、そして誘導されている”
ちょっとしたアイデアをAIで長文記事にして公開するのをやめろ
この記事のことは文末で全てが表現されているわけだが、めちゃくちゃわかる
ちょっと外れるかもしれないが、なんていうか、出来るだけ読むべきものは少ない方がいいと思うから、このSubstackでも不用意な要約とかはしないようにしている、記事読めばわかるし、絶対的にそっちの方が良いので
「過不足ない」ということをもっと考えたい
仏紙「空気を読まなくてもいい『X』は、日本社会の巨大な『圧力鍋』だ」 | 調和を重んじる国民の“本音の行き場”
Xユーザーってそんないるんだっけ、すごいな
”調査会社データリポータルによれば、日本でのXのユーザー数は7120万人に達し、それは人口の58%に相当する。日本はXにとって、米国に次ぐ第2の市場となったのだ。なお、フランスでのX利用者数は1500万人と、人口の20%にすぎない”
2.Business Skill
ソフトウェアの「設計原則」を、なぜ一部のエンジニアは生理的に嫌うのか
これは肌感としてもよくわかる話だった
エンジニアに限らず、ホワイトカラー全般に言える話だと思う。認知方法を、「圧縮型」と「展開型」の2種類に分けて、その特質の違いを深く考えている
“圧縮型は、速い判断と手数を重視した認知戦略をとっています。圧縮型を獲得する人は先天的に大きなワーキングメモリ (記憶力) を持っていることが多く、その優位性をさらに高めるために、なるべく多くの情報を脳内に収めようと努めて情報や知識に対する圧縮効率を重視します”
”一方、展開型は、自身のワーキングメモリを超える情報量に耐え得る認知戦略をとっています。ワーキングメモリに収まらない情報は、無理に圧縮せずに分割して外部メディアに配置します。安価でほぼ無限の容量が使えるので圧縮への強い動機を持たず、むしろ文脈や意図を残す方の価値を重視します”
自分は典型的な「展開型」だが、「圧縮型」と「展開型」の間では、みている世界が本当に違うなと仕事をしていても思うので、会話をするのが難しい。同じ事実をみていても、解釈や考えることは全く違うことが普通に起こるのである
2026年のソフトウェア開発を考える(2026/05版) / Software Engineering Scrum Fest Niigata 2026 Edition
“ソフトウェア開発を「部分的に確率的に間違っても仕組みで気づけるプロセス」として再考できるか” については、AI時代においてまさしくその通りだと思うし、ソフトウェア開発に限らず、社会全般でこの考え方にシフトできるかがポイントになってくると思う
3.Music
一夜限りのカルチャーイベント「Miu Miu Jazz Club Tokyo」が開催決定! | madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)
こんなのやってたのか
”音楽とカルチャーを融合させたイベント「Miu Miu Jazz Club Tokyo」が、5月13日に東京で開催される。” ”東京で2度目の開催となる今回は、銀座店リニューアルオープンを祝し、日本独自の“ジャズ喫茶”文化に着想。静かに音楽へ耳を傾ける空間や、自由な発想が生まれるコミュニケーションなど、東京に根づくローカルカルチャーを、ミュウミュウならではの視点で再解釈する”
Miu Miu’s Tokyo Jazz Club Was About More Than Fashion | AnOther(ミュウミュウの東京ジャズクラブはファッション以上のものだった)
“ミュウミュウは、遊び心あふれる表面的な魅力とは裏腹に、服だけでは十分ではないことをずっと理解してきた。ミュウミュウが提供するのは、文化、女性らしさ、そして着飾る価値のある何かの一部であると人々に感じさせる繊細な芸術性に調和した、完全に実現された世界観なのだ”
4.Book
Z世代「ほめられると気まずい」の真意とは? SHIBUYA109 lab.所長・長田麻衣に聞く、「Z団子」の価値観
この本、読みたいと思っている
5.Video・Podcast
Spotify、AI生成パーソナルオーディオの保存・再生ツール導入 | ニュース | IT×メディアの最前線を届ける | MEDIAMIXI
ほーん、、、まぁ音声コンテンツの動線としてSpotifyに集約するって考え方はあるのかな、あまりピンと来ないが、、、
“Spotifyは5月7日、AIが生成したパーソナルポッドキャストを保存・再生できるようになったと発表” “AIエージェントが作成した各ユーザー専用のデイリーブリーフィング(予定の要約)が、Spotify「ライブラリ」内の他のコンテンツと一緒に保存される。世界中の全ユーザーを対象に、ベータ版として提供”
ちょうどこんなのもみた、AIラジオアプリ「Huxe」の話。パーソナルポッドキャストという流れが来ているのかもしれない。
情報収集は、技術と渇望、少しの天邪鬼。 | Lobsterr ① - 編集を巡る。 | Podcast on Spotify
編集者の伊藤総研さんと内沼さんによる「編集」に関するPodcastのLobsterr回前半。おもろいなぁ、7年1週もニュースレター休んでないのはヤバすぎる
「趣味:情報収集」はめちゃくちゃわかるし、だからこそ世の中の人は"情報"にそこまで興味がないという感覚もかなりわかる
総研さん式と佐々木さん式の考え方の話、面白い。自分も完全に情報ありきだからぱっとは後者かなと思ったけど、聴いていくと自分はディテールにそこまでこだわりはないし、間っちゃ間なのかな。でも内沼さんが総研さん側の中間とすれば、佐々木さん側の中間って感じだろうか
読者を自分たちらしく裏切りたい。| Lobsterr ② - 編集を巡る。 | Podcast on Spotify
編集者の伊藤総研さんと内沼さんによる「編集」に関するPodcastのLobsterr回後半。内沼さんの質問がめっちゃ面白かった。登録者数もすごすぎだし、労力の割き方もすごいな、本当に
やっぱり"情報爆発"が起きた/起きていることで、どんな企業でも"情報"をうまく扱う技術が必要/重要になっていて、そこで肝になるのが"編集"ってことだと思ってるんだよなぁ
国会前デモ、「他候補中傷」文春報道… 「報道されない」問題を考えます #170 - ニュースを深く面白く 報談 【HOU-DAN】 ホウダン | Podcast on Spotify
「報道されない」問題について。この複雑な社会において、その複雑さをどのように伝えるべきかという話だと思った
むずい話だ、メディアとはなんなのか?みたいな話でもあるのかも
社会が高度化してきたことで、良くも悪くも隠蔽されていることは、数多にあって、そこで何が起きているのかを、どれだけ知る/理解するべきなんだろう、というのは悩む。そもそも知りたい/理解したいという人は多くはないだろうし、認知負荷も限界超えてると思う。という中でどうあるべきなんだろうね
たまたま関係ない話で思ったことだが、なんていうか、”ファクト”を正しく集めるって普通に難易度めちゃくちゃ高いんだよなぁ。逆に”ファクト”が集まれば、大体やること決まるしね。人が1人介在するだけでも大体解釈が入って別物になるのだから、組織や国家レベルでは言わずもがな。そして、個人の論理/感情は理解するが、組織の論理/感情は理解できないという趨勢が強まっているように思う
類似の話だった:「共同通信はクソ!」と叫ぶ前に知っておいてほしいこと(補足あり)|kkasai
なんていうか、まじで世の中すべてのことは「自分が理解できる形であるべき」という感覚を持っている人が多そうで、色々と考える
はっきりいって、人類が中途半端に賢くなったことと情報爆発が起きたことによる大きな弊害な気がしている。この状況をどう捉えたら良いのだろうか
6.Other
メリトクラシーが陰謀論を生み出した
本当にそうだよなぁと思う
“リベラルな社会では、「認知能力のばらつき」という「不都合な真実」を口にすることが禁じられている。そのため話が奇妙な方向に逸れていき、すべてのひとが(偏差値六〇くらいの)同じ知能をもっていて、それにもかかわらず「新自由主義(ネオリベ)」や「グローバリズム」という名の黒魔術のようなものによって、運の悪い(あるいは制度的に差別された)ひとたちが社会の底辺に押しやられている、という物語が「政治的に正しい」とされるようになった。 だが2016年にドナルド・トランプが米大統領に選ばれると、さすがにこの虚構(デタラメ)を維持できなくなって、白人労働者階級の詳細な研究などから、アメリカ社会が「学歴」によって分断されていることが明らかになった。認知科学が繰り返し検証しているように、学歴と知能はきわめて相関が高いので、これは「知能による社会の分断」のことだ”
“なぜ、ポピュリズムによって社会が混乱するのか。それは、「まわりが幸福になればなるほど、取り残された者の絶望が深まる」ということで説明できるのではないか。アメリカはとてつもないゆたかさを実現したが、それでも5世帯に4世帯はミリオネアではない。 ここで述べたことで、日本や世界で起きていることはほぼ説明できるだろう。問題は、「だったらどうすればいいのか」の解を誰ももっていないということだ”
5年間の働き方に対する考え方・価値観、約6割が「変化なし」と回答・ビジネスパーソン1200人調査
これ、すごすぎない? この5年間ってコロナもあってAIも来てるのに、6割が働き方に対する考え方・価値観が「変わってない」って
社会の変化に伴う業務・働き方への影響も、半数が「なし」と答えているらしい
この調査を信用するかは置いておくとして、はっきりいってどういう感覚なのか全く理解できないが、でも、マスで見ればそうなんだろうなぁとも思うわけよ
BeRealで炎上中の西日本シティ銀行、スマホ持ち込み禁止に→「0か100しかないんか」という声もあれば「今まで持ち込めてたことにびっくり」という声もあり、反応分かれる
ふーむ、まぁそうならざるを得ないとは思うが、色々と思うところがある話
カルビーの白黒印刷問題、ナフサは確保していると政府の発言がなぜ民間の実感とズレるのか(坂口孝則) - エキスパート - Yahoo!ニュース
サプライチェーンの話は本当に難しいな
中間管理職が成績評価のアブソーバーになる味わい - やしお
JTCにおける評価制度の現場運用の話、非常にJTCっぽい話が具体的に書かれていて、面白い。
まずもって力学が複雑すぎてうまく理解できていないのだが、いずれにせよ、これだけ複雑なので、よほどのことがない限り、概ね一言”無難”な評価に落ち着く、ということなんだろうと思っている
目標シートも、まぁ意味がないとはいわないが、そこまで意味があるものでもないだろう、うまく比較なんてできないし
「チラシを配っても、家なんて売れないでしょ」 それでも、オープンハウスが“路上営業”を続ける理由
「AI時代に残るのは、泥臭い現場接点である」という見立てを持っているので、この話はよくわかる
まぁこういう話かもしれない
これもまぁ近い話
「結論から話す」「質問は自分の仮説を述べてから」など、コンサルタントで最も重視される能力は「お客様やコンサル同士で同じプロトコルで話せること」らしい
「使う言語が違う=敵(倒す対象)」というのは人間の根源的にあるものな気がする
「同じプロトコルで話せるか」も、それこそが企業文化を育むものなんだと思うから、だからこそコンサルとかに限らず、外部も含めて一緒に仕事をする人に同じプロトコルや言語を求めるのは、普通に合理的だと思う
受け手が獲得できない創作は意味がないのだろうか|矢口 泰介
最近考えたいと思っている「受け手」の話だ
創作側からの視点だが、こういうことを「受け手」の側からも考える必要があると思っている
The Implication Economy: Why the Smartest Brands of 2026 are Saying Less and Meaning More(インプリケーション・エコノミー:2026年の最も賢いブランドが、言葉数を減らし、意味を伝える理由)
めちゃめちゃ”いま”っぽい話だ やっぱ”言葉”じゃなくなってるんだよなぁ
“全く異なる4つのカテゴリーに属する4つのブランドが、すべて同じ原則に基づいて展開されている。直接的に表現すれば安っぽく、違法で、あるいは効果がないものの、視覚的・構造的な手がかりによってその主張が伝えられる。消費者は自らそれを解読し、そうすることでより賢くなったと感じるのだ”
“新しい強みは、言葉で伝えることではありません。オーディエンスが理解してくれると信じることこそが重要なのです。このことを理解しているブランドは、より少ない費用でより大きな影響力を発揮するでしょう。そうでないブランドは、ただひたすら言葉を並べ立て、なぜ誰も耳を傾けてくれないのかと首を傾げるばかりです”
最近自分が出したもの
職場を動かしているのは「不機嫌」である 〜 快・不快の脊髄反射と、人間を信用するための”防衛反応”〜 - 余白のエクリチュール | Podcast on Spotify
「不機嫌」について考えてみました。結局社会とか職場って機嫌とか不機嫌で動いているし、AI時代にはこの傾向はより顕著になるのではと思いました
参考記事はこちら→https://www.notion.so/2026-05-15_-53-35f1d2f9389a800c8813ef2d360becf0
Editor's Note
最近バズっていて気になったポストがこれ。
Xユーザーの矢島由佳子|音楽ジャーナリストさん: 「まじでこれ。気をつけて https://t.co/t451QUo7g4」
内容自体は、若干懐疑的ではあるのだが、そういうことがないとも言えない。いやはや、最高に頭が良い人たちが作った「アルゴリズム」はすごい。
ただ、自分が気になったのは、そうやって目に入ったものの中には本当は全然別の話をしているのにも関わらず、「関係があるものとして誤って読み取ってしまう」という可能性はないだろうか。
そういうものを含めて、やはりSNSは壊れている。
そういう話が、ソーシャルメディアは死なない。ただゾンビとして残るだろうだった。
SNSはもはや壊れていて、「パラソーシャルメディア」という、AIにも塗れた、もはや誰とも繋がれない、パラソーシャル(一方通行)な関係が中心となっている。そこは本来のSNSとは、全く別物になっている。
しかし、我々はそういうことをうまく理解できずにいる。
例えば、これも近い話かもしれない。
こういうことを理解して、SNSと付き合えている人はどこまでいるのだろうか。いやそもそも、我々はこんな複雑な仕組みを理解する必要があるのだろうか?
メリトクラシーが陰謀論を生み出したを読んでいて、本当にそうだよなと思った。この官僚的社会は、すべてのひとが偏差値60くらいの同じ知能をもっている/もつべきという前提で作られたもののように感じる。
国会前デモ、「他候補中傷」文春報道… 「報道されない」問題を考えます #170 - ニュースを深く面白く 報談 【HOU-DAN】 ホウダン | Podcast on Spotifyを聴いていても、悩んでしまった。果たして、一般大衆が報道の裏側に起きているプロセスをどこまで理解すべきなのだろうか。
もちろん理解するに越したことはないので、そういうことを伝える努力をメディアがしたほうがいいとは思うが、それをちゃんと理解すべきかどうかは別の話だ。そして、ほとんどの人はそんなことには興味がないはず。となると、今起きている情報空間でのやり取りの大勢が変わるとも思えないのが正直なところ。
ナフサの話も、なるほどと思いながらカルビーの白黒印刷問題、ナフサは確保していると政府の発言がなぜ民間の実感とズレるのか(坂口孝則) - エキスパート - Yahoo!ニュースを読んだが、現代のサプライチェーンは難しすぎる。いろんな見方があるだろうが、自分には悪者はいないように見える。多分みんな少しずつ理解が及んでいないことが積み重なっている。
そういえば、BeRealで炎上中の西日本シティ銀行、スマホ持ち込み禁止にしたそうで、今までしてなかったのかという声も結構あるらしい。が、これも難しい話。
確かにAIに聞くと、金融機関ではそれが基本だ、みたいに言ってくる。が、知り合いの金融関係の人に聞いてみたら、確かにルールはある。がそれが守られているかは別だ、ということであった。やっぱそうだよなと思う。
やはり、社会は複雑すぎる。高度であるが故に、一般的な人間が理解できる状況にはなっていないし、仮にルールがあっても、それが守られているとは限らない。
5年間の働き方に対する考え方・価値観、約6割が「変化なし」と回答・ビジネスパーソン1200人調査を読んで、びっくりしてしまった。この5年はコロナもAIもあって、社会目線で見れば、全てが変わったといっても言い過ぎではないかもしれないのに、少なくとも自認としては、そうは思わない人が半数はいるという事実。
もちろん調査の信憑性という話もあるのだが、でも、多分本当にそうなんだろうなと思う。目の前のことに精一杯であれば、こんなことそもそも考えもしないということも理解できる。だから、いつのまにか変わっており、別に変化があったかどうかもわからない。気にしない。
やっぱり、社会の作り方がどこか間違っているのではないか。「すべてのひとが偏差値60くらいの同じ知能をもっている/もつべきという前提」が一時の幻想だったのではないか。その結果として出てきたのが、トランプ的な現象であり、ちょっと前の参政党的なものであり、今の高市政権的な在り方ではないだろうか。そしてそれは別に何かが間違っているというわけではないのではないか。
というか、そう考えない限り、この先どこにもいけないように思う。
読者を自分たちらしく裏切りたい。| Lobsterr ② - 編集を巡る。 | Podcast on Spotifyで、Lobsterrの佐々木さんが「いかにトランプ支持者のおじさんたちと寄り添うか」を考えたいという趣旨のことを言っていた。
こういうことから社会を編み直していくしかないと思う。管理をするのではなく、まずは理解しようとすることから。多分そこでは効率とかそういう概念が解体される/されなければいけない気がする。本当にそういうことが重要なタームになってきている。






